古代エジプトの木片まで!?丸善雄松堂の古書目録が優秀すぎる
「ワールド・アンティーク・ブック・プラザ」という書店をご存知ですか。都内の丸善日本橋店3階にあるマニアックな稀覯書・古書専門店です。以前、古い洋書を購入して以来、定期的に古書目録を送ってくれています。これが博物館級の品揃えで「お金を出せばこれが買えちゃうの?」と思うような本ばかり。ただページを眺めているだけで、お酒がどんどんすすみます。著作権の問題がなさそうなので、2018年夏号の掲載分のうち、お金があったら買ってみたいマニアックな古書トップ5を紹介したいと思います。皆さんの感性に刺されば幸いです。それではさっそく見ていきましょう。
◼️5位 葬送文書の記された木片 ¥864,000
エジプト末期王朝時代〜プトレマイオス朝時代(紀元前664〜前30年頃) に制作された棺の一部とみられる木片が第5位です。「王が神に与える供物」「オシリス」「声正しき者」という葬送に関連する言葉が連ねられているそうです。問題はこれを本と呼ぶべきかどうか。ぱっと見、考古学資料にしか見えないので、どういった経緯でカタログに載ったのかにも興味が湧いてきます。値段以前に、きちんと後世に残すための保存環境がないので諦めました。
◼️4位 パピルス 断簡「金銭借用書」¥486,000
6世紀のエジプトのパピルス片です。木片に比べたら、ぐっと本に近づきました。古代ギリシア文字で書かれた金銭借用書で、借用金額は不明です。ローンがきちんと返済されたことを示すインクのラインが文字の上に引かれています。借金返済のお守りになりそうだと思いましたが、私の場合、これを買うために借金をする必要が出てきてしまいます。
◼️3位 ヴェルヌ「海底二万里」挿絵入り版初版 ¥183,600
第3位は1871年にパリで刊行された海底二万里の挿絵版です。写真の口絵のほか、111点の挿絵が収録されているそうです。それにしても「初版」の二文字に心がときめくのはなぜでしょうか。同じ中身の「海底二万マイル」なら、講談社青い鳥文庫版が670円で買えるというのに、もはや同じ本とは思えません。時刻を知るだけならスマホで十分なのに、高級腕時計が欲しくなる人の気持ちが少し分かったような気がしました。
◼️2位 シャガール画 / ブルニケル 「魔法と王国」シャガールのサイン入り ¥3,078,000
1972年パリ刊ですから、かなり最近の本です。限定180冊のうちの一冊で、シャガールと著者ブルニケルのサイン入り。オリジナルカラー・リトグラフ10枚もついているとのこと。これくらいの値段になると、読んで楽しむというより、もはや投資対象や節税の手段になってしまいそうですね。後世のシャガールの評価次第でさらなる高値がつく可能性もあります。
◼️1位 ホンディウス 「日本図」¥540,000
第1位は1633年刊行の日本地図です。アムステルダムの地図業者ホンディウスが1603年に出版した地図のフランス語版から取ったとみられるそうです。なにより注目すべきは地図の中身。当時まだアイヌの地だった北海道が描かれてなかったり、列島全体がぐにゃっと歪んでいるのはよくあることですが、朝鮮が巨大な島として描かれているところが個人的にツボです。なんとか手に入れて部屋に飾りたいものです。
朝鮮が島だった件についての詳細はこちらの本に書いてあります。
◼️まとめ
以上、独断と偏見で順位をつけてご紹介しました。実際の目録にはさらに幅広い分野についての多彩な本が数百冊規模で載っています。知的好奇心を掻き立てる素敵なカタログをいつも送ってくれる同書店運営の丸善雄松堂さんに感謝いたします。興味のある方は、丸善日本橋店にぜひ遊びにいってみてください。東京メトロ銀座・東西線日本橋駅B3出口直結です。最後まで読んでいただきありがとうございました。