①ポリネシア②ミクロネシア③メラネシア④マカロネシア:あなたは違いを説明できますか?
世界には◯◯ネシア、と呼ばれる地域がいくつか存在します。どれも「島々」という語源から連想される共通イメージがあるため、個々の特徴や違いはよく分からないという人も少なくないと思います。例えばハワイやグアムがどれに属するかパッと答えられますか?この機会にしっかり押さえておきましょう。
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目次
◼️ポリネシア:ハワイやニュージーランド
(ポリネシアン・トライアングルと人の移動)
オセアニア地域に3つある◯◯ネシアの中で最も広いのが「多くの島々」を意味するポリネシアです。北西ハワイ諸島のミッドウェー諸島、ニュージーランド、イースター島を結ぶ「ポリネシアン・トライアングル」の中に約700万人が暮らしています。サモア、トンガなども含まれます。
(ポリネシア人の女性)
・肉弾戦では世界最強
オーストロネシア語族を話す台湾先住民が南方に拡散し、もともと住んでいた肌の黒いネグリトの人々と混血して、現在のポリネシア人になったと言われています。カヌーを使って大海原を渡り、南米チリ領のイースター島にまでたどり着いた冒険家。その先のアメリカ大陸にも渡ったと言われています。体格は大柄で、ラグビーやアメフトなど肉体酷使系のスポーツをやらせたら世界最強とも言われます。
◼️ミクロネシア:グアムやサイパン、パラオ
ハワイとグアムはなんとなく似ているような気がしますが、ハワイがポリネシアなのに対し、グアムは「小さな島々」を意味するミクロネシアです。サイパンを含むマリアナ諸島やパラオ、分類法によっては日本の小笠原諸島も含まれることがあります。人口は50万人ほどです。
(チャモロ人の家族)
・小柄でスリム
インドネシア中部のスラウェシ島から渡ってきたパラオ人、チャモロ人(グアムやサイパンの先住民)と、後述するメラネシアから北上したキリバス人などの二つの系統があります。ポリネシアやメラネシアとの混血が複雑に進んでいて、外見は個人差が大きいですが、基本的には小柄でスリムな人々です。
◼️メラネシア:パプアニューギニアやフィジー
オーストラリア大陸の北西、インドネシアの一部やパプアニューギニア、ソロモン諸島、ニューカレドニアなどで構成されるのが「黒い(人々が住む)島々」と呼ばれるメラネシアです。域内面積はミクロネシアとほぼ同じですが、大きな島が多く、人口は3倍近い1400万人です。
(ニューギニアの伝統的な踊り)
・デニソワ人の遺伝子?
メラネシアでは、もともとパプア諸語を話す肌色の濃い人たちが住んでいたところに、オーストロネシア諸語を話す比較的明るい肌の人たち渡来し、長い時間をかけて単位でゆっくりと混血していったと考えられています。今でもこの2系統の言語を話す民族が混在します。小さな集落のみで話されている言語は1300を超えるといわれ、その多くが今まさに絶滅の危機に瀕しているそうです。また住民の一定数は、謎に包まれた化石人類デニソワ人の遺伝子を受け継いでいるとの学説もあります。人々の混血の度合いは一様でなく、一部は北上してポリネシアへ進出していったほか、オーストロネシア文化を保つ「域外ポリネシア」と呼ばれる島々もあります。
◼️マカロネシア:カナリア諸島やカーボベルデ
ほかの◯◯ネシアとは地理的に異質なマカロネシア。南ヨーロッパから北アフリカにかけての沖合に浮かぶ「幸福な島々」を意味する地域です。ポルトガル領のマデイラ諸島とアゾレス諸島、スペイン領のカナリア諸島、カーボベルデという国を構成するベルデ岬諸島の4つの列島が存在します。日本ではあまり耳馴染みがありませんが、マデイラ諸島出身者には、サッカーのポルトガル代表のCR7ことクリスティアーノ・ロナウドがいます。
(カーボベルデ人の女性)
・クレオールが多数派
カーボベルデでは、住民の7割がポルトガル人とアフリカ人のミックスです。カーボベルデ人は国外に人口の半数以上が暮らしており、アメリカ合衆国などに大きなコミュニティがあります。スペイン領カナリア諸島では、スペイン人と北アフリカのコーカソイドであるベルベル系グアンチェ族の混血が進みました。マデイラ諸島はポルトガル人の島です。クリスティアーノ・ロナウドだけでなく、ヨーロッパ人としてアメリカ大陸に初めて到達したクリストファー・コロンブスも、マデイラ諸島出身だという伝承があります。
◼️まとめ
実は奥の深い◯◯ネシアの世界、いかがでしたでしょうか。ハワイやグアム、フィジーなどに旅行にいくことがあれば、頭の片隅に入れておくと、現地の人たちとの交流がもっと楽しめるかも知れません。最後までお付き合いいただきありがとうございました。